そんな大したことではないですし,おそらくすでに指摘され議論もされていることなんだと思うのですが,気になったことについて不明瞭ながら言語化できそうなのでちょっとだけ書いておきます。
下記の記事はいろいろ文献や具体的な参考情報を紹介していて良い記事だと思います。
davitrice.hatenadiary.jp
それで,ヴィーガン (vegan)対フェミニズムという構図そのものがなんとなくもやもやしていたのですけれど,たぶんそれは「フェミニズムを標榜することによって新たな課題が投げかけられる」ところに抱いた違和感なのではないかと。
差別の当事者や人権を侵害されている側がそれを克服しようとするプロセスにおいて(過剰に/不当に)「潔癖さ」や「品行方正であること」を求められてしまう問題についてはよく言及されますし,おそらくその類の話なのではないかと思いますが…
ヴィーガンの思想自体は女性やフェミニズム的主張を掲げる人をことさらにターゲットにするようなことはないのでしょうけれど,今回の発端になったケースでは「フェミニストだから」課題が投げかけられたわけですよね。
そのことそのものがまさに不平等の反映なんじゃないかなあということを思ったのでした。
「ネット」は「リアル」になったのか
下記のブコメに意外なほどスターが付いて驚きました。
インターネットで言いたいことを言えなくなるb.hatena.ne.jp
- [web]
ネットが今よりもアングラっぽい扱いだった頃を懐かしむ感覚は分からんでもないけど「「ブス」程度の発言」と言える土壌を作ってしまったのなら問題視されても仕方ないかな
2018/01/30 16:15
こういう考え方の問題点については追記を含めても他のブコメでいろいろ指摘しているので特にこれ以上論じたりはしませんが,自分のコメントにも書いたように感覚だけはなんとなく分かります。
で,これはたぶん似たような問題がTwitterとかにもあると思うのです。
なんというか,雑ですが,「共感してもらえる,あるいは聞き流してもらえるメンバーが(多くを占めて)いる場で気兼ねなく発言したい」みたいな(まったく誰にも聞いてもらう必要がなければそれこそ紙の日記でいいわけですから)。
でも今のwebの場やサービスって工夫しないと基本的には「つながる/つなげる」方に行く志向性というか仕組みがいろいろ用意されているのでその実現はより難しくなっているというか。
私の授業で電子メディアと言語の話を取り上げるする時にも話題にするんですが,この「懐かしきネット」の頃って「2ch」とかそういうネット上の場がある程度閉じていたような気がするのですよね。もちろんあくまでもある程度なんですけど。とりあえず言語だけ見てみても,今は「2ch」発祥の表現がまとめサイトを経たり,あるいは直接Twitterとかに飛び火してLINEで使われるようになったり音声言語(友人間会話とか)でも使われるようになるみたいなことが珍しくないしそれほど時間もかからないようで(ある程度調査・データ収集してます)。
私自身は「ネット」対「リアル」という対立のさせ方が昔からあまり好きではなくて,便宜的に使うこともあるのですが「リアル」以外の良い表現を探しています。今はちょっと大仰感もあるのですが相変わらず「物理的身体世界」を使っていたり。
「web(の世界)」に対して「リアル(の世界)」というのがなんとなく気持ち悪いので授業では最近「物理的身体世界」とか単純に「webの外」みたいに呼んでる。定着してる専門用語あるのかなー
— Takumi TAGAWA (@dlit) 2014年10月29日
上記の発言への返信で「オフライン-オンライン」という提案もありますが,「場」であることが分かりやすいようにしたいのですよね。たぶん私が知らないだけで良い表現が提案されいているのではないかと思いますが。
「2ch」にはそれほど入り浸ったわけではないのですが,昔から覗くことはあって(言語学板とかありますし),ほんと「「ブス」程度」と言ってしまいたくなるほどひどい表現や発言があるというのは分かります。いろいろ存在するメリットがあるとしても,あれはひどすぎる(もちろん板によって違いもあるのですが)というのが私の印象です。
「ネット」も「リアル」(の一部)であると考えざるをえない(人が増える)世界になってきたのであれば,個人的には歓迎ですね。
上で閉じた場と「つながり」の話にちょっと触れましたが,一方で各サービスや場の独立性というか独自性もその都度発生しているような気がします。今後「ネット」はどうなっていくのでしょうか。
kindleの英語関連書セールで江利川春雄『英語と日本軍 知られざる外国語教育史』が60%オフ(2/1(木)まで)
下記の英語関連書セールで江利川春雄『英語と日本軍 知られざる外国語教育史』が60%オフになっています。
amzn.to
基本的にはNHKラジオの英語教材とか,語学としての英語,英文法関連の新書等が対象のセールなのですが,なぜかその中に1冊,この本が…いや,英語関連ということなんでしょうけれど。
- 作者: 江利川春雄
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2016/03/28
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る