dlitの殴り書き

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紙×オンライン論争も大変なのかもしれないけど届ける内容も考え直してみてほしいかな

コストの話

ニュースサイト「ザ・ハフィントン・ポスト」日本版を運営する会社の最高経営責任者(CEO)でもある小野さんは「世界で流通する膨大な情報量のうち、新聞に載る活字はわずか。だが、プロ集団が厳選し編成した情報が詰め込まれている」。
新聞は時代遅れなの?:朝日新聞デジタル

 この点は同感するところ。情報を集めたり、内容を確認したり、関係者や専門家からコメントを取ったりということは技術とコストが必要な作業だろうし、その点は尊重した方が良いと思う。
 ブログなどで専門家の書いたものを無料、あるいはそれに近いコストで読める機会が増えたので感覚が麻痺しそうだけれど、それは多くの専門家が元々必要な技術を持っており、本業の方でコストをかけて得たものを公開してくれるからではないか。たとえば僕も自分の専門に限って言えばおそらく新聞より素早く正確な情報発信ができるトピックはあるだろう。でもそれはこれまで多くの費用(私費、研究費、…)や時間をかけて技術や知識、情報を獲得してきたからだ。

天声人語

 ただし、専門家としての矜持があり、精選・編集されたものに意義があるというのであれば、もっとしっかりしてほしいなあと思うことはある。朝日新聞について言えば、その一つが天声人語だ。
 僕が大学で担当している文章作成・言語能力の授業(中級)で「批判とは何か・どうやるのか」というテーマに何週か割いてやっている。
 昨年度は批判のモデルケース・トレーニングの対象として天声人語を取り上げたのだが、今年度はやめた。なぜかというと、主張や論理展開がふわふわしているものが多く、批判の対象としては難しいと判断したからだ(良く言えば上級者向け、厳しく言えばトレーニングにならない)。中にはそういう意味でもしっかりしたものがあるので昨年度はなんとかそういうものを選んだのだが、今年度はそもそも探すのに手間がかかりすぎるのでやめてしまった。
 以前、本館の方で天声人語を批判したことがあったが、

僕の専門に関係するトピックのものとはいえ、この記事なんかまだ批判しやすい方な気がする。
 語数制限も厳しいだろうし社としてはあまりはっきりした意見を述べられないトピックに言及しなければならないようなこともあるのだろう。それでも、もし新聞が事実だけでなく「論」も発信するものであり、さらにその新聞の顔だというのであればもう少し主張や論理展開が明快な文章も載せてほしいと思う(実はこの辺り天声人語を朝日新聞がどう位置付けているのかよく分からないのだけれど)。
 個人的な印象論なら、それが個人のものであるとわかるだけブログなどの記事の方がましではないか。

おわりに

 と、ちょっとだけ新聞のコラム調の文体を意識して書いてみましたけどどうなんでしょうね。個人的には紙だオンラインだやっている段階なのかなあという気がするのですが(もちろんその辺りのことがどうでも良いというわけにはいかないでしょうけれど)。
 で、これを書くために天声人語webを見に行ってみたら終わるみたいですね。

この度、2013年12月末をもって当WEBサイト「天声人語Web」を閉鎖することになりました。
天声人語Web|朝日新聞