下記の記事に
「取り下げ」は"withdraw"の訳で"retraction"は「撤回」とするのが多い気がするが(記事内では「撤回」も使われていてあまり区別してないのかな):https://t.co/V6dnFthB4N / “NatureやS…” http://t.co/yC6N2B0Nql
— Takumi TAGAWA (@dlit) 2014, 3月 14
というコメントをしたところ、編集の方から反応があって良いやりとりができたと思ったので記録も兼ねて。
背景
後でまとめるツイッターでのやりとりでも出てきますけど、研究者によっては「取り下げ(withdraw)」と「撤回(retract)」ではかなり印象が違うのではないかと思います(形式的には上のツイートでリンクしてるElsevierのページなんかが参考になります)。
分野や雑誌による違いもあって難しいけど、「取り下げ(withdraw)」はそんなに深刻じゃない場合もある(例:査読・編集とどうもすりあわせがうまくいかないしどっか別のところに出すわ)のに対して、一度公刊されたものを「撤回(retract)」するのは結構おおごと、と感じる人がいるんじゃないかなと。
それでその辺りがあまり区別・整理されてないのはちょっと気になるなーと思って上のコメントを付けてみたわけです。
ガジェット速報 with Technityの編集の方とのやりとり
ちょっと冗長な感じがしますが下記にまとめます(ところでメンション元を表示させないのはどうやるんでしょうか…伝統とはいえはてなのヘルプわかりにくい…)。
@dlit お世話になっております、記事の編集を行ったものです。取り急ぎretraction→withdrawへ修正させて頂きました。ご指摘、ありがとうございます。
— くまむん@タウイ泊地 (@secondwind28) 2014, 3月 14
@secondwind28 おお、これはご丁寧にどうも。個人的見解ですが、(分野・雑誌間の違いもあってややこしいと思いますけど)「取り下げ(withdraw)」は基本的に論文の正式公刊前にやるもので、公刊後のは「撤回(retract)」と呼ぶことが多いので、(続く
— Takumi TAGAWA (@dlit) 2014, 3月 14
@secondwind28 続き)今回のケースはむしろ「撤回(retract)」に当たるのかなと思います。ただ私の専門は自然科学ではないのであくまでも参考ということで。
— Takumi TAGAWA (@dlit) 2014, 3月 14
@dlit ご教示いただき、誠にありがとうございます。私の方でも色々と見てみましたが、一般レベル(新聞などの海外メディアを含む)では厳格に区別されていないような印象を受けました。いずれにしても、今後は注意するように致します。
— くまむん@タウイ泊地 (@secondwind28) 2014, 3月 14
@secondwind28 いえいえ、実際、私の見た範囲の記事でもそうなっている印象ですが、このような所にも注意を向けていただけると研究者も喜ぶかと思います。現に私の周囲では(重要なポイントなのに)用語をきちんと使えてない!と気にしている人もおりましたので(^^;
— Takumi TAGAWA (@dlit) 2014, 3月 14
@dlit 恐縮です>< 記事を執筆したライターは米国の理工系大学院に在籍しているものなのですが、いわゆる「現場用語」的な意味でretractionが使用されているのかな、と考えております。個人的にも気になるので、そのあたりについては後ほど確認してみます。
— くまむん@タウイ泊地 (@secondwind28) 2014, 3月 14
@secondwind28 あれ、それでは釈迦に説法でしたね(^^; 確かに、慣習的な使用法があるんだと思います。印象の話なんで先ほどは書かなかったんですが、withdrawよりretractの方が「重い/重大な措置」だと感じられて、それでこだわる人も結構いるのかなと
— Takumi TAGAWA (@dlit) 2014, 3月 14
@dlit いえいえ、重要な部分かと思いますので、今回のようなツッコミは非常に有難いです。ライター自身にとっても身になりますので…。重さというのは、たしかにそうなのかもしれません。
— くまむん@タウイ泊地 (@secondwind28) 2014, 3月 14
@secondwind28 そういう形で丁寧に対応していただけると、読んでいる方としても今後が楽しみにできて良いです :-)
— Takumi TAGAWA (@dlit) 2014, 3月 14
感想
記事に修正が入ってからエントリにしようかな、とも思ったのですけれど、僕が言ってることが間違ってて修正入らないケースもあるかと思ったのでとりあえずまとめてみました。
ガチの専門用語だけじゃなく、こういう一見すると日常用語とほぼ同じものに見えるところにも実は重要なポイントや分野の事情が潜んでいるということを、こういう形で(メディアに携わる方々との間で)すりあわせができるというのは、専門家と素人の接点として見ると、重要な/幸せなことなんじゃないかなと感じました。