dlitの殴り書き

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「人文学はサイエンスではない」ということで良いですか?

はじめに

 下記の発言によると,「人文学はサイエンスではない」ということですが,他の人文系の研究に関わっている皆さん,それで良いですか?

※この記事では「サイエンス(的)」が何/どういうことを指すのかという点については踏み込みませんが,私が気にしているのは上記発言の直後にある「「新しいことを発見する」のではなく」という点です。

 該当するのは以下のうち3つめのツイートですが,前後の文脈もはっておきます。





言語学は困るかなあ

 文脈を見るとある程度分からなくもないですが,「人文学って色々ある」と言いつつ,このように言い切ってしまえるのはすごいと思います。「人文学にはサイエンスとは異なる特徴があり,それが重要である」とかなら分かるのですが。「サイエンス」を「自然科学」の意味に限定したとしても,検討が必要な分野はあるんじゃないですかね。
 私は言語学の研究者なので言語学について言うと,言語学の研究全体がすべてサイエンス的でないといけないとは思いませんが,「言語学はサイエンスではない」と言い切られると困る言語学の研究者は多いんじゃないかなあ。まあ時々愚痴っているように「言語学は(ホンモノの)人文学ではない」ということなら,納得できますしそれで研究分野としては困らないと思いますが。

おわりに

 何か特定の考えや言説に対抗するための発言ではないかということも考えたのですが,それならこんなカバー範囲の広いざっくりした一般化にはしないか,「人文学の重要な特徴として,〜というものがある」という存在/所有表現にしてほしいなと思います。
 以前も似たようなことを書きました。「事実」や「証拠」との向き合い方についても少し書いているので,興味のある方はどうぞ。

危機感の現れという側面があったとしても、「王道」の学問分野の方々には自分の分野をディフェンスしようとするあまり変な対立構造を生まないようにしてほしいなと思う。
人文系、ホンモノの学問、基礎/応用、みたいな話(言語学の研究者から見て) - dlitの殴り書き